行こうとしただけで世界が広がる―24歳、インド行きを断念して得たもの
→前回:「『インドに行けば人生が変わる』は本当か?40代占い師が語る、一度も行っていないのに人生を変えられた話」からの続き
田舎という井戸を出た私。
福井の小さな村では、まわりの人と違う行動を取る人が、ほとんどいません。世界は広いということを知った小学生の私でしたが、どうすることもできず、中学・高校は、まわりに合わせて生きていきました。
でも、高校を卒業する時、私は世界を堪能するための一大決心をしたのです。
まわりを驚かせた進路選択
その決断とは、4年生の大学に進学せずに、和裁士という着物の仕立てのプロになるための修行をするために、京都で生きていくこと。
この私の決断に、蜂の巣をつついたように、まわりの人は驚いていました。
福井の田舎では、みんなが同じような人生を送るのが当たり前と思われていました。だから、そこから外れて「興味のあることを追求する」という選択肢が存在していること自体に、驚かれていたのです。
京都に住み込み、和裁士になるための修行を始めた頃、私はとても楽しく毎日を過ごしていました。
自分の見たい世界を見て、やりたいことを追求する。
小さな田舎の井戸の中にいては、決してできないことをしているという充実感がありました。
24歳、突然降ってきたインド行きの切符
それから6年の月日が経ち、24歳になった頃。
突然、インドへの切符が目の前に降ってきました。
姉の友人にインド在住の日本人の方がいて、そこに姉と一緒に行ってみようという話になったのです。
私は小学校の頃から抱いていたインドに行けることに、期待を膨らませていました。
ついに、あのインドに!
でも、そのインド旅行は中止になってしまいました。
なんと、予定していた旅行の直前に、スリランカ空港でのテロが起こってしまったのです。
第二段階の衝撃
「世界は安全じゃない」
これが第二段階の衝撃でした。
そんなアタリマエのことが、やっぱりわかっていなかったんです。
日本人は安全ボケしている、といいますが、まさに私がそれでした。自分の命を脅かされるような脅威が身近にあるのだと考えさせられる事件でした。
インド旅行自体はなくなりました。別の国に行く機会があったのですが、外国であれば意識を変えなくてはいけないのはどこも同じでした。
日本という井戸を出る
旅行中に危険な目に合うことは、幸いにもありませんでした。
しかし、お花売りの少女に小さな花を押し付けられたり、バスの中でスリと攻防したり、怪しい人から声をかけられてしまったりと、小さな事件はありました。
田舎という井戸を出ても、日本という井戸を出ていなかった私が、やっと井戸から出たのでした。
これが、二度目にインドが私の人生を変えた瞬間です。
インドに向かおうとしただけで、私の人生の枠を広げてくれました。
行かなくても、人生は動き出す
振り返ってみると不思議なものです。
小学生の時は、友人の話を聞いただけで人生が変わりました。
24歳の時は、行こうとしただけで世界観が変わりました。
どうやら、悩みの有無に関係なく、インドに関わるだけで、人生がポジティブな方向へ動き出すようです。
でも、この時点で私はまだ知りませんでした。
井戸というのは、一つや二つではないということを。
人生には、何重にも重なった井戸があって、一つ抜け出したと思っても、また次の井戸が待っているということを。
そして、その次の井戸で私を待っていたのは、「ママ社会」という、これまでとはまったく異なる世界だったのです。
→次回:「ママ友地獄からの解放―インド人少年が教えてくれた『自分が主役』という真実」に続く
西洋占星術はしっくりこない。四柱推命は漢字が多すぎる。運命の占術を探し続けた私がパソコン画面で見つけた「インド占星術」という言葉。小学生から40代まで、行き詰まるたびにインドが助けてくれた不思議な縁。そして2025年、私はまだインドに行っていない。それが意味することとは?あなたの人生にもある「インド」を見つけるヒント。完結編。
起業サロンで出会ったインド在住の友人。「どうしてインドに?」と聞くと返ってきた衝撃の一言「修行で」。子供3人を連れて家族全員でインド移住した彼女が教えてくれたこと。「やっちゃいけないことなんて何もない」自分で自分を禁止していた私。起業、YouTube、仮想通貨…最先端を追っていた私が本当にやりたかったこととは?自分で掘った最後の井戸から抜け出す瞬間。
出産後、ママ友社会という新たな井戸に放り込まれた私。公園デビューの根回し、習い事の強制。自分を殺して周りに合わせる日々。そんな閉塞感を打ち破ったのは、日本語ペラペラのインド人少年の言葉だった。「インドには何もなかった。でもそこにずっといたいと思った」素手と裸足で野球を楽しむ姿が教えてくれた「自分が主役」という真実。ママ友地獄からの解放の物語。
2025年11月、インド占星術師の私はまだインドに行っていない。福井の小さな村で育った少女が、転校生の「インド旅行」という言葉で世界の広さに気づいた瞬間。井の中の蛙だったことにすら気づいていなかった私に、インドが教えてくれた「当たり前のこと」とは?人生に行き詰まった時、なぜ人はインドに惹かれるのか。40代占い師が語る、一度も行っていないのに人生を変えられた不思議な物語。