ママ友地獄からの解放―インド人少年が教えてくれた「自分が主役」という真実

→前回:「行こうとしただけで世界が広がる―24歳、インド行きを断念して得たもの」からの続き


インドのおかげで、世界は広く、様々な生き方があると知った私。

その後、ネットで知り合った男性と結婚しました。田舎出身の私からすると、びっくりするぐらい最先端の結婚の仕方です。

しかし、ここまで来た私も、出産を経て「ママ社会」という新たな井戸に放り込まれてしまったのです。

目次

自分を殺す選択

子育ての中で強烈に感じること。

それは「私の子育ては間違っていないだろうか」という疑問に尽きます。

これがママ友や保護者会などを通じて人と接するうちに、私を圧迫していきました。

たとえば、子供が幼稚園に行く前に、近所の同年代の子供を持つ親たちに根回しをしておかなければならない公園デビュー。

あるいは、何かしら子供に習い事をさせておかないと、ママ友同士の会話がなくなり、白い目で見られること。

こういったことに対して、私は強い違和感を覚えていました。

でも、子育ては自分だけの責任で動くことはできません。なぜなら、子供に災難が降りかかるかもしれないからです。

だから、こんな感じで自問自答の日々を送っていました。

「自分が普通と思っていたことは普通のコトではないかもしれない」
「私は何も知らない」
「分からないから周りに合わせておこう」

インドから新しい刺激を受けて、自分の普通が壊れていった時とは違い、私は、みんなと同じにして、周りの空気に合わせておくという楽な選択をすることにしました。

この決断は、自分を殺すことでもありました。

日本語ペラペラのインド人美少年

こんな閉塞感を打ち破りたいと思っていた頃。

子供の通っていた英語教室のクラスに、顔立ちの整った日本語ペラペラのインド人の美少年が入学してきました。控えめで物静かな野球少年です。

その彼がある夏、こう言い出したのです。

「お父さんの故郷を訪ねて、家族で2週間インドに行くことになった」

しかも、日本で生まれて日本を出たことのない彼は、現地の言葉は全く喋れないそうです。

それを聞き、私は複雑な気持ちになりました。

あのインドに行けるなんて羨ましいと思うと同時に、全く言葉が通じない場所で2週間も過ごすなんて、大丈夫なのかと心配な気持ちでもありました。

「インドには何もなかった。でもそこにずっといたいと思った」

2週間後、私の心配が全くの杞憂だったということが分かりました。

帰国した彼に会うと、顔がすっかり変わっていました。そして、目を輝かせてインドのどこが良かったのか、楽しかったのかということを話してくれました。

特に、私が衝撃を受けた発言が、これでした。

「インドには何もなかった。でもそこにずっといたいと思った」

彼は、いとこたちと野球をしたくてボールとグローブを持って行ったそうです。しかし、インドには何もなく、素手と裸足で野球を楽しんでいたらしいのです。

さらに、彼の母と話してみると、インドでは日本の常識が全く通用しないということでした。それどころか、まだまだ十分に整備もされていない地域であると。

第三段階の衝撃

それを聞き、私は再び、インドに色々と教わりました。

何もなくたって、自分がいれば、それで良い。

ちょっとカッコよく言えば、「自分が自分の世界の主役である確信」という感じかもしれません。

その当時の私を悩ませていた、ママ友と上手に付き合っていくために、浮かないように、目立たないようにおとなしく良い母を演じなくてはという常識も、根底にある何かから崩れていくのを感じていました。

これが、三度目にインドが私の人生を変えた瞬間です。

子供には子供の人生がある

子供には、本人が主役の人生があるわけです。

だから、私が子供のためにママ友との関係を気にしすぎるなんて、あれだけ悩んでいましたが、実は必要のないことだと気づきました。

こんな感じで、人生をより俯瞰的に見れるようになり、気が楽になりました。

もっと大きいことを言えば、

自分ってなんだ?
私は何のために生きるのか?

こんな重い問いに対して、インド人の少年の話を聞いただけで、私なりの答えを得たように感じました。

このように、何かしら人生に行き詰まりを感じると、インドが私に手を貸してくれるのだと確信を深めていきました。


しかし、私はまだ知りませんでした。

井戸というのは、他人が掘ったものだけではないということを。

自分自身で掘った井戸というものがあり、そこから抜け出すのが一番難しいということを。

そして、その最後の井戸から私を救い出してくれたのも、またインドだったのです。


→次回:「『修行で』―衝撃の一言が壊した、自分で掘った最後の井戸」に続く

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